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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

執筆者の写真橘川 徳夫

【PRコラム】オリンピックに関するSNSの誹謗中傷問題

更新日:10月28日


約2週間に及ぶパリオリンピックが終わりました。日本は金メダル20個、銀メダル12個、銅メダル13個の計45個のメダルを獲得するなど、海外で開催するオリンピックでは過去最高の戦績を挙げることができました。


私も日本がここまでメダルを取れるとは思っておらず(選手の皆さんすみません)連日の快進撃にとても驚かされました。オリンピックは、活躍する自国選手の姿に国民全体が勇気づけられる国家レベルでの一大エンターテイメントの場であることをあらためて実感しました。表彰台に上がる、上がらない関係なく、全力を出し切る選手たちの姿は、見る人に大きな感動を与えたことでしょう。


さて、今回のオリンピックの報道で目についたのが、SNS上での選手に対する誹謗中傷です。


SNSは、個人的に思ったことを自分の仲間に伝えるコミュニケーションツールです。感じたことをそのままつぶやいてしまいたい気持ちは私にも理解できます。

我々のようなおじさん世代は、そういったトピックはSNSではなく、居酒屋で話すことが多かったかもしれません。仲間内の話ですから、多少の誹謗中傷などは酒の肴みたいなものですから、よほどのことがない限り、そういった悪口などが選手に届く可能性は低く、ましてやニュースで伝えられる機会はまずありません。


しかしこれがSNSだとどうでしょうか。あなたの投稿は自分の知らない人たちの間で瞬時に共有される可能性があります。実際、拡散した中傷などがアスリートの目に触れてしまうケースも多々あり、彼らのリアクションを通してテレビなどのニュースでも話題となっていくわけです。


SNSは、便利で自分の思いを共有するために適したツールではありますが、匿名性が高く、誹謗中傷しても自分に害が及びません。したがってネガティブな内容が拡散しやすくなります。現実世界では口にしづらいような主張を誰かが投稿すると、そこに共感が集まり、「いいね」やリポスト等によって拡散してしまうわけです。また、ニュースメディアなどもネガティブで刺激的な内容を好んで取り上げる傾向にあり、結果としてSNS上で行われる誹謗中傷の拡散を助けてしまっているところがあります。


人間は、不満や怒りなどの感情が芽生えることを抑えることができません。私もパリオリンピックでは、審判や外国人選手への不満を抱いたり、日本人選手に対して不甲斐なさを覚えたこともありました。しかし、そういったネガティブな内容をSNSに投稿しようとは思いません。フォロワーが多寡に限らず、一旦投稿が拡散してしまうと自分ではどうすることもできません。拡散が進んでから投稿を削除しても、元の投稿のスクリーンショットが出回り、拡散が止まらないケースも多々あります。


SNSは、情報がいち早く広く伝えるには便利なメディアですが、使い方を誤ると他人を傷つけてしまう凶器にもなりえます。常日頃からPR活動に携わっているとSNSの怖さを実感します。


SNSでのアスリートに対する誹謗中傷は、オリンピックで頑張った選手に水を差すものでしかならず、誰もプラスにはなりません。今後も注目度の高い国際的なスポーツイベントが開催されるたびに同様のケースは発生する可能性があります。ぜひ、みんなが納得するような良い対策を考えていきたいものです。

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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