top of page

無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

執筆者の写真橘川 徳夫

【実践PR講座 その6】難易度を増す、若い推し活世代へのPR活動

更新日:10月24日

前回のブログでは、ターゲット層の情報収集方法や、それが潜在的ニーズか顕在化したニーズかによってPR戦略が変わる点についてお話ししました。今回は、ターゲットが細分化されている現状と、その影響について触れていきます。


昔は「オタク」というと、自分の趣味に没頭し、他人が何をしているかに関心を持たない少し変わった人というイメージがありました。しかし、最近の若者たちは、自分の好きなもの以外に興味を示さず、推しを全力で応援する「推し活」が当たり前となっています。


こうした状況では、ターゲットが細かく分かれるため、どの層にどうアプローチするかが難しくなります。しかし、情報が正確に届けば、その「推し活」を通じて消費行動が促進される可能性もあります。


具体的な例で説明しましょう。私たちの会社がPRをアニメ展覧会では、一見するとアニメファン全体にPRを展開すればいいように思われます。しかし、今の若者は特定のアニメを推しているため、自分が好きでない作品には興味を持たないことが多いのです。たとえば、「呪術廻戦」のファンが「鬼滅の刃」展に関心を持つとは限りません(もちろん、両方好きな人もいますが)。同じ週刊ジャンプに掲載されている作品であっても、ジャンプ全体のファンにアプローチするだけでは、思ったほどの効果が得られないかもしれません。


さらに、推しキャラや声優、アニメーターなど、ファンの「推し」が細分化されているため、個々の好みに合わせたPR展開が求められます。こうした細分化が進む中、従来のように「スポーツファンならどの競技も楽しめる」といった一般的なアプローチが通用しにくくなっています。したがって、幅広い若者層に自分たちの発信したい情報を伝えるのは、相手が興味を持たないものであれば、非常に難しくなってきています。


SNSなどのネットワークを活用すれば、情報がターゲットの間で拡散される可能性はありますが、そのネットワーク内にアプローチすること自体が難しいのです。


特に若者世代は、自分が興味のない情報には目を向けようとしません。このように、「推し活」の普及とともに、若者の意識も変化しており、関心外の情報を得る意欲が低くなっています。そのため、若年層へのPR活動はますます難しいものとなっているのです。

閲覧数:0回0件のコメント

最新記事

すべて表示

【実践PR講座 その15】SNS活用の落とし穴:バズに惑わされない情報発信のポイント

ここ最近、情報化社会では短いテキストよりも画像や動画が好まれ、SNSが情報発信の主流になっていることについてお話ししてきました。今回は、SNSでの発信時に注意すべきポイントについて考えてみたいと思います。 SNSで「バズりたい」「情報を拡散したい」と考える人は多いでしょう。...

【実践PR講座 その14】テキストだけでは届かない?画像と動画を使った効果的なコンテンツ制作

前回のブログでは、テキストを効果的に活用する方法をご紹介しました。今回は、テキスト以外の方法、特にSNSを活用した「画像」や「動画」の情報発信についてお話しします。 SNSが日常生活に溶け込んだ今、テキストだけではなく視覚的なコンテンツが大きな力を持っています。特にInst...

Comments


著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

bottom of page