前回のブログでは、ターゲット層の情報収集方法や、それが潜在的ニーズか顕在化したニーズかによってPR戦略が変わる点についてお話ししました。今回は、ターゲットが細分化されている現状と、その影響について触れていきます。
昔は「オタク」というと、自分の趣味に没頭し、他人が何をしているかに関心を持たない少し変わった人というイメージがありました。しかし、最近の若者たちは、自分の好きなもの以外に興味を示さず、推しを全力で応援する「推し活」が当たり前となっています。
こうした状況では、ターゲットが細かく分かれるため、どの層にどうアプローチするかが難しくなります。しかし、情報が正確に届けば、その「推し活」を通じて消費行動が促進される可能性もあります。
具体的な例で説明しましょう。私たちの会社がPRをアニメ展覧会では、一見するとアニメファン全体にPRを展開すればいいように思われます。しかし、今の若者は特定のアニメを推しているため、自分が好きでない作品には興味を持たないことが多いのです。たとえば、「呪術廻戦」のファンが「鬼滅の刃」展に関心を持つとは限りません(もちろん、両方好きな人もいますが)。同じ週刊ジャンプに掲載されている作品であっても、ジャンプ全体のファンにアプローチするだけでは、思ったほどの効果が得られないかもしれません。
さらに、推しキャラや声優、アニメーターなど、ファンの「推し」が細分化されているため、個々の好みに合わせたPR展開が求められます。こうした細分化が進む中、従来のように「スポーツファンならどの競技も楽しめる」といった一般的なアプローチが通用しにくくなっています。したがって、幅広い若者層に自分たちの発信したい情報を伝えるのは、相手が興味を持たないものであれば、非常に難しくなってきています。
SNSなどのネットワークを活用すれば、情報がターゲットの間で拡散される可能性はありますが、そのネットワーク内にアプローチすること自体が難しいのです。
特に若者世代は、自分が興味のない情報には目を向けようとしません。このように、「推し活」の普及とともに、若者の意識も変化しており、関心外の情報を得る意欲が低くなっています。そのため、若年層へのPR活動はますます難しいものとなっているのです。
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