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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

執筆者の写真橘川 徳夫

【実践PR講座 その7】好きなもの以外見ない?推し活世代に響くPR戦略とは

前回の記事では、若者の「推し活」を通じて、関心がない情報にはなかなか興味を持たないというお話をしました。今回は、インターネットの仕組みがその傾向をさらに強めている現状についてお話しします。


インターネット上では、サジェスチョン機能や広告が私たちの過去の検索や興味に基づいて表示されるため、自分が関心を持っている情報が優先的に出てきます。たとえば、SNSやニュースサイトでも、普段よく見るジャンルの情報ばかりが目に入り、他の新しい情報が表示されにくくなっているのです。


この仕組みは便利な一方で、興味の外にある新しい情報に触れる機会が減り、特に若者に対しては、自分の好きなこと以外の情報が届きにくくなっています。そのため、企業や団体が新しい商品やサービスを若者に伝えたいと思っても、関心がなければその情報がなかなか届かない、という課題が生まれています。


こうした状況を打破するためには、若者に寄り添ったPR戦略が必要です。単に伝えたい情報を一方的に発信するだけでは、彼らの関心を引くことはできません。そこで、若者が興味を持っているものをうまく活用しながらPRを進めるアプローチが有効です。ここでは、4つの施策をご提案します。


PR施策1:コラボレーション戦略


よく見かける例が、アニメキャラクターとのコラボ商品です。若者に人気のキャラクターとコラボすることで、キャラクターを通じて商品やサービスを認知してもらえ、推しキャラのグッズとして購買行動に繋げることができます。


PR施策2:インフルエンサーの活用


影響力のあるインフルエンサーを使うことで、若者に新しい情報を届けることができます。彼らが商品やサービスを紹介すると、そのフォロワーたちが自然と興味を持ち、SNSを通じて情報が広がっていきます。

PR施策3:若者に楽しんでもらえるコンテンツの作成


インフルエンサーに頼らなくても、若者が楽しめるコンテンツを提供するのも一つの方法です。たとえば、人気アーティストの曲を使ったダンス動画や、SNSでバズるようなクリエイティブなコンテンツを制作すれば、若者の間で広がりやすくなります。


PR施策4:リアルな体験を通じたプロモーション


オンラインだけでなく、リアルな体験型イベントも効果的です。ポップアップイベントやコラボイベントで、新しい商品やサービスに実際に触れる機会を提供することで、興味の外にある情報にも自然とアクセスしてもらえます。

 

ただし、こうした手法を使っても、必ずしも伝えたい情報が正しく伝わるとは限りません。場合によっては、PRメッセージがかえって反感を買うこともあり得ます。特にSNSではネガティブな意見の方が広まりやすいという特性があるため、若者に向けたPR戦略は慎重に考える必要があります。


若者に寄り添ったPRを展開する際は、彼らの反応やリスクも十分に考慮し、より丁寧な戦略設計が求められるのです。

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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