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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

執筆者の写真橘川 徳夫

【PRコラム】合同記者発表会を開催しました

先日、弊社の企画で「都内5美術館 2025年企画展合同記者発表会」を開催しました。このイベントは、コロナ禍では一時中止となっていましたが、今回で9回目を迎えます。


この企画の面白さは、通常はライバル関係にある都内近隣の美術館が、一堂に会して一緒に記者発表会を行うという点です。PR業界では、競合同士の協力は珍しいため、意外に思う方も多いでしょう。実は私も最初はそう考えていたのですが、美術館の方に話をしてみると「一緒にやる方がむしろ良い」と前向きな反応をいただき、無事に実現することができました。


発表内容としても、次年度の展覧会ラインナップを紹介する形にしたのが良かったようです。近年、雑誌業界では厳しい状況が続いていますが、美術館の年間スケジュールを紹介する雑誌は好調で、記者や編集者、ライターの方々からも関心を集めまています。


さて、記者発表会を企画する際にまず重要なのは、どれだけのメディアに出席してもらえるかを考えることです。もちろん発表内容も大切ですが、PR会社としては、内容そのものはクライアントが決定するため、私たちは他の部分でアドバイスを行います。たとえば、記者が出席しやすい場所を選ぶことです。駅から近い場所や、新しい話題のスポットなどが理想的です。もちろん、場合によっては自社の会議室で開催されることもありますが、可能な限り出席者に配慮した提案をしています。


次に、時間の設定も大切です。短すぎると情報不足に感じられ、長すぎると忙しい記者に敬遠されてしまいます。理想的には1時間程度ですが、今回の合同記者発表会では、5館それぞれに15分の持ち時間を設定し、全体で1時間15分に加えて、館長トークセッションなどを盛り込み、2時間を超える内容になりました。


メディアからは「もっと参加館を増やしてほしい」との要望もありましたし、参加美術館からは「15分では十分に説明できない」との声も聞かれました。しかし、参加館を増やしたり、持ち時間を増やしたりすると全体の時間が長くなりすぎるため、現状の形式で落ち着いています。今後も、より良い方法があれば改善していきたいと考えています。


記者発表会に似たものとして記者会見があります。特に「お詫び会見」がよく行われますが、これは長時間にわたることが一般的です。記者の質問が尽きるまで対応する必要があり、途中で打ち切ると批判を招きかねません。そのため、時間配分には常に悩まされますが、誠意を示すためには、質問に全て答える姿勢が重要だと感じます。


最後に、弊社が企画した合同記者発表会には、毎回60名以上のメディア関係者にご出席いただいており、関係者の皆さまに心から感謝しています。今後も引き続き、皆さまにご満足いただけるイベントを目指していきます。

 

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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