PR戦略を考える際には、単に何を考えるかだけではなく、戦略を構築するためには何が必要なのかについてお話してきました。多くの経営戦略書が存在し、さまざまなアプローチがありますが、私はその中で「ストーリー」が極めて重要だと考えています。
では、PRにおけるストーリーとは具体的にどのようなものでしょうか?
PRは、知られていないことに気づいてもらうための活動です。そのため、相手が容易に理解しやすい形で情報を伝える必要があります。自分が理解しているから相手も理解するという思い込みは避けるべきです。特にエンジニアの場合、専門用語を使いすぎて理解されづらくなることがあります。ストーリーを活用することで、情報を分かりやすく伝えるだけでなく、相手にイメージを持ってもらいやすくなります。
例えば、「子供のいない老夫婦が川で拾った桃から生まれた子供を育て、その子が世間に迷惑をかける鬼を退治し、宝物を持ち帰り幸せにその後を暮らした。」という話を聞いたとしても、それだけでは興味を持つ人は少ないでしょう。しかし、「川上から桃がドンブラコドンブラコと流れきた」などと話が展開されると、より具体的にイメージができ、興味深いものとなります。また、キビ団子の話や犬、猿、雉が家来になった経緯を加えると、さらに想像力が膨らみます。
PRにおいては、ストーリーを通じて情報を伝えることで相手にイメージを残し、商品やサービスの利用方法などを想像させることが重要です。これが購買活動につながる要素となります。
では、ストーリーを作るとはどういうことでしょうか?
私は、ストーリー志向のPR戦略を考える際に、井上ひさし氏の言葉「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく。」が示す通りに、相手が知らないことを分かりやすく、深く、面白く伝えることが重要だと考えています。
この言葉に従って考えることで、相手に伝えたい情報をストーリーに組み込みやすくなります。そして、ストーリーを構築するためのテクニックも重要ですが、まずはどのようにストーリーを組み立てるかを考えることが大切です。この言葉を覚えて、PR戦略におけるストーリーの重要性を意識してください。
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