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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

執筆者の写真橘川 徳夫

【PRコラム】ドラマと原作どちらが先?

仕事柄、世の中のトレンドに最低限ついていけるように、TVドラマはできるだけ意識的に数多く見るようにしています。今は、平均すると週に5本程度でしょうか。仕事で忙しくて観られないこともあるので、できるだけ面白そうなものを選んで観ることにしています。しかし、なぜか2024年夏のドラマは惹かれるタイトルが多く、NHKの大河ドラマも含めて、週に9本観ていました(逆に春ドラマは、おもしろいのがなく3本でした)。


私の若い頃のドラマは、人気小説が原作になることが多かったように思います。ですが、最近のドラマは漫画・コミックが原作となることが多いようです。私は漫画を読むことがほとんどないので、ドラマになってそれが人気漫画だと初めて知ることも多いです(この夏はまった「西園寺さんは家事をしない」は人気コミックのドラマ化作品でした)。


読書好きの私ですから、人気作家の小説はもちろん読みます。そうなるとドラマ化、映画化される本もあります。そこで問いたいのが、ドラマ化した原作の本や漫画を観て楽しめるか、ドラマを観て原作を読んで面白いかということです。


私は個人的に自分でこれまでに読んだ本の映画やドラマは、あまり観ないようにしてきました。なぜ観ないのかと言うと、私が小説を読んでいる時、小説の登場人物を自分なりに想像するのが好きだからです。この登場人物はあの俳優に演じさせたいな…、このヒロインはあの若手女優がいいな…などと考えながら読み進めることも多々あります。自分なりの登場人物像が頭の中で固まっているので、ドラマや映画を観てしまうとと自分の思い描いた物語の世界観と実写ドラマの印象がかなりかけ離れていたとき、読後感が台無しになってしまっては嫌だ……と無意識に考えていたのかもしれません。


ですが、こうした原作と実写化のイメージの乖離は、私だけでなく、多くの人が一度は経験していることなのではないでしょうか?それにしても、なぜ原作を読んで思い描いた世界観とドラマを見たときの印象がかけはなれてしまうのでしょうか?


それは、恐らくドラマと小説のそもそもの作り方にも原因があるのかもしれません。ドラマの場合、1クール約10話で構成するのが一般的なので、次の放送回も視聴者に観てもらわなければならないので、1話ごとに盛り上がる場面を作らなければなりません。そうするとどうしても、原作と異なるシナリオにしないとハラハラドキドキ感を演出することが難しくなってしまうのでしょう。ストーリー展開も、アレンジする必要が出てくるわけです。


また、演じる俳優のイメージなどに合わせて配役が調整されるケースも散見されます。どの役を演じさせても、もともとの役者の素のイメージが強すぎて、ストーリー内の登場人物とイメージがあわなくなってしまったり、ドラマを盛り上げるために個性が強い役に仕立てあげられたりすることもあるでしょう。


さらに、誰もが観てもわかりやすく面白い展開にするために、わざと善と悪をはっきりさせるケースや、出演者の人数も決めなければならないなどの制作上の制約もあるでしょう。


こうしたことから、なかなか原作どおりのドラマ展開というのは、視聴率競争が激しい現在においてはあり得ないのかもしれません。昨年、「セクシー田中さん」の原作者が脚本家との意思疎通が図れず問題となったことがありましたが、視聴者だけでなく、ときには制作者側の思惑や思いが大きくずれたまま制作が進行してしまうケースもあるようです。


このように、私は原作を先に読了していた場合、実写ドラマはあまり見ない事が多いのですが、逆に、原作は未読の状態で先にドラマを観て面白かった場合は、小説を読むようにしています。


先に読むか、観てから読むかは人それぞれですので、どちらでもいいと思いますし、本を読む人が少なくなっているので、ドラマや映画をきっかけに読書家が増えれば嬉しいですね。実際、私はドラマ放送後に原作小説を読み、その作家さんの別の小説を芋づる式に読み進めていった経験もあります。何事も最初のきっかけが大事なのではないでしょうか?

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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