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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

最近、仕事でも日常生活でも、マニュアルに沿って進める場面が増えている気がします。スマホの操作やデジタル機器の使い方も、マニュアルを見れば解決できることが多いですよね。でも、中には「マニュアルを読むのが苦手(というか嫌い)」という人もいて、わからないことがあると調べずにすぐ人に聞いてしまう…なんてこともあるのではないでしょうか?


私も会社を経営する立場として、マニュアルの重要性はよく理解しています。特定の社員しか知らない業務があると、その人がいなくなったときに困りますし、業務をスムーズに共有するためにはマニュアル化が欠かせません。また、マニュアルを作る過程で、業務の流れを見直し、改善点を発見することもできます。


一番のメリットは、新しく仕事を始める人やまだ慣れていない人にとって、いちいち質問しなくてもマニュアルを見れば仕事を進められること。何度も同じことを聞かれる側としても、そのほうが助かります。正直、同じ質問を何度もされると「いい加減に覚えてほしい…」と思うこともあります(さすがに口には出しませんが…)。


一方で、マニュアル通りの対応をされると、逆にイライラすることもあります。特に最近の通信サービスやスマホの契約は、プランが複雑だからか、電話で申し込むと何度も確認を求められます。間違いのない対応をするためには仕方ないのかもしれませんが、必要以上に細かく説明されると、だんだん訳がわからなくなってくることも…。また、「それを了承しないと契約できません」と杓子定規に言われると、ちょっと馬鹿にされているような気分になることもあります。


もちろん、トラブルを防ぐためにきちんと説明するのは大切です。でも、そこまで細かくしないといけないのなら、そもそも電話契約自体に無理があるのでは…?と思ってしまいます。対面でもマニュアル通りに進められると、人間味が感じられず、機械的に扱われているように思うことがあります。


イベントPRの現場でも、分厚い運営マニュアルが配られることがあります。全スタッフが内容を共有するためには必要なのかもしれませんが、読んでみると「こんなことまで書く?」と思うような、当たり前のことが並んでいることも。もはや「マニュアルを作ること自体が仕事になっているのでは…?」と思ってしまうこともあります。


確かに成果物としてマニュアルがあると「しっかり準備しました」というアピールにはなりますが、それが本当に意味のある仕事なのか、少し考えてしまいますね。

 

 
 

これまで「実践PR講座」と題して、最新のPR事情を踏まえた実践的なPR戦略についてお話ししてきました。この講座もいよいよまとめの段階に入ります。今回は、これまでの内容を踏まえながら、どのようにPR戦略を考えるべきかについて整理したいと思います。


PRの戦略を考える際、私は「5W1H」の視点が重要だと考えています。特に、PR活動を行う際に最初に考えるべきことは、「誰に」「何を」「なぜ」伝えるのかという点です。

私はPRを「知らないことを、知らない人に伝えること」と定義しています。そのため、

  • What(何を):ターゲットが知らない情報は何か?

  • Who(誰が):その情報を知らないのは誰か?

  • Why(なぜ):なぜその情報を知らないのか?

この3つの要素を整理することが、PR戦略の土台になります。


PR会社がアドバイスや提案をすることはできますが、最終的には発信側が「誰に何を伝えたいのか」を明確にしなければなりません。「多くの人に、できるだけ多くの情報を届けたい」という相談を受けることもありますが、ターゲットや伝える内容を絞らないと効果的なPRにはなりません。


ただし、「一つの話題だけに絞る必要はない」という点も重要です。インターネットが普及する以前は、一つの話題を広く伝えることが主流でしたが、現在はターゲットを細かくセグメント化し、それぞれに適した内容を伝えることが可能になっています。


例えば、野球をテーマに考えてみましょう。

ドジャースの大谷翔平選手がメジャーリーグで活躍していることは広く知られていますが、野球のルールを知らない人は多くいます。また、日本のプロ野球ファンでも、メジャーリーグには興味がない人もいます。このように、「何を知らないか」は人によって異なります。


では、なぜターゲットはその情報を知らないのでしょうか?

  • 子供の場合 → そもそも野球をしたことがないから、ルールを知らない。 → 解決策:選手が直接指導する少年野球教室を開催する。

  • 女性の場合 → 野球場に行ったことがなく、観戦の魅力を知らない。 → 解決策:球場内にネイルサロンを設置し、楽しみながら観戦できる環境を作る。

  • 特定のチームのファンではない人 → 強いチームに興味があるが、特に応援しているチームがない。 → 解決策:選手補強やチームの躍進をアピールする。


このように、一つのテーマに対して異なるターゲットごとにPR戦略を立てることが、現代のPRにおいて重要な視点となります。

次回は、3つの要素の中でも特に「Why(なぜ)」に焦点を当て、さらに深掘りしていきます。

 
 

毎年2月になると日米双方でプロ野球のキャンプが始まり、テレビなどでも野球の話題が一気に増えてきますね。


特に昨年は、大谷翔平選手がメジャーリーグで大活躍し、ドジャースがワールドシリーズを制覇。大谷選手自身もMVPを獲得するという素晴らしいシーズンでした。さらに、山本由伸投手、今永昇太投手、菊池雄星投手、鈴木誠也選手など、多くの日本人選手がメジャーで活躍したことで、日本のプロ野球よりもメジャーリーグのニュースの方が多かったように感じます。


今では、日本人選手がメジャーでプレーするのは当たり前の光景になりましたが、その道を切り開いたのが野茂英雄選手です。私にとっても野茂選手は特別な存在となっています。なぜなら、30年近く前にドジャースタジアムで実際に彼のピッチングを観戦したことがあるからです。


当時、野茂選手のメジャー挑戦には賛否両論がありました。「本当に通用するのか?」という声もありましたが、彼はトルネード投法で三振を次々に奪い、見事に実力を証明しました。その活躍は日本でも大きく報道され、一躍スター選手に。ちょうどロサンゼルスに行く機会があったので、「これは生で見るしかない!」とドジャースタジアムで観戦することにしました。


しかし、登板日を計算してチケットを取ったものの、予定がずれてしまい観戦できず……。当時はインターネットもなかったので、情報を集めるのも一苦労でした。それでも諦めずにもう一度チケットを取って(当時は今より安かったのもあります。)、ついに野茂選手の登板試合を観ることができました。結果は残念ながら敗戦でしたが、メジャーリーグの雰囲気を存分に味わうことができました。


その後、イチロー選手や松井秀喜選手をはじめ、日本のスター選手たちが次々と海を渡り、メジャーに挑戦しました。成功する選手もいれば、思うように活躍できなかった選手もいますが、彼らの挑戦は今もなお続いています。今年も、巨人の菅野智之投手、ロッテの佐々木朗希投手、中日の小笠原慎之介投手、阪神の青柳晃洋投手(マイナー契約)がメジャーリーグへの移籍を果たしました。応援するチームの選手が海を渡るのは寂しいものですが(ドラゴンズファンの私としては、小笠原投手にはもう少し中日で頑張ってほしかった…)、やはりメジャーで活躍する日本人選手を見るのはワクワクしますね。


一方で、移籍のあり方については議論が続いています。佐々木選手のポスティング問題や、上沢直之選手のように移籍を巡ってファンから批判の声が上がるケースもあります。プロ野球選手のキャリアの選択肢が広がったのは良いことですが、今後は選手とファンが双方納得できるようなルール作りが必要になってくるかもしれません。


選手が夢を叶え、ファンも納得できるシステムが整えば、日米の野球人気がさらに高まり、もっと盛り上がるはずです。これからも日本人メジャーリーガーの活躍に注目しながら、シーズン開幕を楽しみに待ちたいですね!

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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