前回お話したように、「自分は知っているが、相手は知らない。」という情報がPRにおいて効果的であることを述べました。
しかし、実際のところ、このようなケースは稀で、「自分は知っているし、相手(みんなも)知っている。」というケースがほとんどです。
この議論は哲学的な側面も持ちますが、単純に相手に新しい情報を伝えることがPRにつながるということです。分かりにくいかもしれませんので、具体例を挙げて説明します。
例えば、弊社で「北斗の拳展」のPRを行った際に、多くの人々が「北斗の拳」の漫画・アニメは知っています。この場合、「北斗の拳展」のPRは効果がないと考えるかもしれませんが、そうではありません。PR会社が成り立つのもこのようなケースであり、そのためには新しいアプローチが必要です。
具体的には、「北斗の拳」のファンに対しては、展覧会の開催を伝えることに焦点を当てます。彼らにとって展覧会は魅力的なイベントであり、その存在を知れば参加したいと考えるでしょう。しかし、知らなければ行くことはできません。従って、PRの目的は展覧会の開催を知らない人々にその情報を伝えることにあります。
さらに、北斗の拳のファンでない人々にも興味を持たせる情報を提供することで、展覧会のPRを行います。例えば、この漫画やアニメに触れたことがない若い世代に対しては、影響を受けた漫画家や人気タレントが魅力を伝えることで、彼らにも展覧会への興味を抱かせることができます。
つまり、「北斗の拳の魅力を知らない」人々に対してその魅力を伝えることで、展覧会のPRを行うのです。
自分が知っていると思っていたことでも、新たな視点で見ることで未知の部分が見えてくるものです。PRの役割はそうした未知の部分を発見し、周知させることにあります。このような発見は自己成長にも繋がりますし、PR効果も高まります。
次回以降では、具体的なPR戦略の考え方について話を進めていきます。