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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

前回、メディアPRがうまくいかない場合の代替案として広告についてお話ししました。広告にはさまざまなメディアがあり、どの媒体を選ぶかはPR戦略に基づくことが重要です。


広告予算が豊富にある場合、広告を複数のメディアへ横断的に出稿する方法も有力です。例えば、新製品の発売に合わせてプレスイベントを開催し、その日からテレビCMや新聞広告、屋外広告などを一斉に展開することで、広く認知を広める手法はメディアミックスの王道的な事例としてよく知られています。しかし、これは広告予算が潤沢にとれる大手企業に限られた手法です。


予算が限られる場合、媒体を絞る必要があります。その際、「誰に」「何を」伝えたいかを考え、それにあった媒体を選ぶことが重要です。媒体の特性を理解すれば、戦略に合った最適な媒体を選定できますが、予算の問題も生じます。テレビが適していても、予算がなければCMを流せませんし、新聞も多くの人に見てもらうためにはある程度の費用が必要です。


比較的安価で、手軽に試せるのがインターネット広告(Web広告)です。Web広告は、投入する広告費用を自分で設定できるだけでなく、ターゲットを詳細に絞り込むことも可能なので、より効果的・効率的に伝えたい相手に情報を届けることができます。


Web広告には、バナー広告、リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、アフィリエイト広告などがあります。バナー広告は既存のメディア広告に似た特性があり、リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告が現在の主流です。

ここでは、代表的な3つの広告について簡単に説明します。

 

リスティング広告 ユーザーが検索したキーワードに連動して検索結果にテキスト形式で表示される広告です。ユーザー自身が検索したキーワードに合わせて表示されるため、サービスや商品を探している確度の高いユーザーにアプローチできます。

 

ディスプレイ広告 Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告で、「画像+テキスト」や「動画+テキスト」を組み合わせて表示されることが多いです。

 

SNS広告 Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LINE、TikTokなどのSNSメディア内に広告を配信する方法です。それぞれのSNSを利用しているユーザーに対して広告を表示することができます。

 

どの媒体も一長一短がありますが、どの広告も、出稿した広告コンテンツの効果を細かく分析できる機能が提供されています。そのため、Web広告はPR戦略が正しいかどうかを見極めるためにはとても有効な手段であるといえます。

次回の講座では、この点についてさらに詳しく説明いたします。

 
 

これまで、メディアPRの考え方や方法、そしてそれを実践する際に必要なWeb対策についてお話してきました。メディアに記事として取り上げてもらえるかどうかは、実際に試してみなければわかりません。今回は、PRがうまくいかなかった場合の対策についてお話しします。


メディアに取り上げられなかった原因は、プレスリリースの発表タイミングが悪かったり、その内容がメディアの興味を惹くには不十分だったことが考えられます。しかし、メディア側は記事として取り上げなかった理由を教えてくれないため、自分たちで原因を推測するしかありません。


メディアPRの難しさは、一度成功したからといって、同じ内容を似たような手法で展開しても効果が得られる保証がないことです。同じプレスリリースを何度も送っていては効果が薄れていくので、常に新しいネタや違う視点からのアプローチが必要になります。


したがって、メディアPRがうまくいかなかった場合は、次の方策が決まるまでは、一旦メディアPR戦略を中止したほうが良いでしょう。そのかわりに、広告を中心にしたPR方法を検討してみると良いかもしれません。


広告は予算さえあれば、自分が掲載したいメディアに載せることができます。掲載基準はあるものの、メディアに伝えたいことを載せることができるので、メディアPRよりも簡単で手軽です。そのため、広告はPR手法の中で最もよく活用される方法です。


広告を考える場合、ターゲットにリーチしやすい媒体の選定と費用対効果を考慮する必要があります。例えば、多くの人に知らせたいからといってテレビCMを考えても、予算が100万円しかなければ効果は期待できないでしょう。


広告戦略を立てる際には、「どのメディアで」「いつ」といった詳細な部分までしっかりと検討することが重要です。具体的な打ち手が漠然としているなら、広告代理店や媒体と相談してじっくりと戦術を練るのも良いでしょう。第三者に相談することで、自分が考えていた媒体以外の効果的な方法や新しいアイデアを提案してもらえることがあります。


まずは、専門家に相談して最適なPR戦略を立てることが成功への近道です。

 

 
 

テレビドラマを観ていると、主役の俳優が広告代理店に勤務していることがよくあります。洗練されたオフィスで、華やかな仕事内容を颯爽とこなす画面中のキラキラした人物たちには、広告代理店で働いている私でさえ「かっこいいな」とあこがれてしまいます。


ただ、これはあくまで物語のなかの話。現実は違います。もちろん、大手やWeb系の広告代理店はこのようなワークスタイルに近いのかもしれませんが、当社のような小さな代理店とはまったくイメージがかけ離れています。


実際、私がしている仕事は地味な仕事が多いです。PRイベントの現場では進行を仕切ったりすることもありますが、普段は資料の封入作業も率先して手伝いますし、人手が足りなければ、椅子や机を並べるといったイベント会場の設営なども行います。


PR会社の仕事はイベントや広告の企画を考えることだと思われがちですが、実際はほとんど調整の仕事です。つまり、メディア、クライアント、外注先など関係者の話を聞いて合意形成を図っていくことに大半の時間を費やしています。調整先も1社だけではなく、たいていの場合は複数となるので、関係者が多くなればなるほど調整するための時間や労力を必要とします。また、関係者の間に入って交通整理する、という作業は、テレビドラマのようにかっこよく自己主張する場面はでてきません。ひたすら相手の話を聞いて、ベストな着地点を探す地味な仕事になります。これでは、どう考えても華やかできらびやかになりようがありません。


もっとも、世の中に存在するどんな仕事でも、華やかな場面ばかりではありません。ドラマの中であっても、地味な役回りをこなす社員だって映っています。広告業界に興味がある方は、そのことはよく知っておいた方がいいかもしれませんね。


もちろん、私はこの仕事が好きですし、やりがいがあると思っていますので、地味な仕事を厭わない方は、ぜひ一緒にお仕事をしましょう!

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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