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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

更新日:10月28日

これまでは、PR戦略をどのように考え、組み立てていくかについてお話してきましたが、ここからは具体的なPR手法の考え方ややり方についてお話しさせていただきます。まずは私の会社に行っているメディアPR、いわゆるパブリッシングについてお話します。

 

パブリッシングとは、メディア(媒体)に自社の商品・サービスを紹介してもらうことです。もちろん、掲載や放送されても費用はかからないのが一般的です。したがって、紹介してもらえれば、その費用対効果は大きいです。


また、メディアなどの第三者からの評価してもらえることになるので、そこからのお墨付きをもらったと情報受け手が感じることになり、情報の信用度が高まります。

 

では、メディアにアプローチをするにはどうすればいいのでしょうか?


 メディアに紹介してもらうには、メディアにそれを伝える必要があります。その情報をメディアに伝えるものがプレスリリースです。パブリッシングの基本的な方法は、プレスリリースを作成して、それをメディアに送るという作業になります。


となるとメディアへの送付先のリストが必要となりますが、どういうメディアが存在しているのかを一般の方はなかなか知りません。PR会社はそのメディアリストを持っているので、プレスリリースさえ作成して配信をお願いすれば、ある程度希望するメディアへリリースを送ることができるでしょう。


PR会社でなくても広告代理店など普段からメディアとお付き合いのある会社であれば、リストがあるかもしれないので相談するのもいいと思います。


もちろん自分たちだけでやるとなると大変な作業になるかもしれませんが、インターネットの時代ですから地道に調べていけばリストを作成することが可能だと思います。

やっとの思いでリストを作ってプレスリリースを送付しても、そのリリースを読んでもらわなければ、メディアで紹介されることはありません。


メディアの方は1日に数多くのリリースが届きますから、その情報から紹介したい情報を選ぶわけなので、いかに読んでもらって、なおかつ紹介してもらえるプレスリリースを作成しなければなりません。次回以降、メディアに取り上げてもらうためのプレスリリースの条件についてお話していきます。

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PR戦略についてこれまでお話ししてきましたが、実際のPR活動にはどのような手法を使えば良いのでしょうか?


広告業界では、PRは一般的にパブリシティのことを指します。


つまり、メディアを通じて自社の商品やサービスを紹介してもらうことがPRと考えられてきました。なので、私が会社入ったころからの仕事は、メディアに取り上げてもらうための企画を考えたり、アクションを起こしたりすることを主にしてきました。


しかし、インターネットの普及により、メディアの多様化が進んでいます。そのため、単にパブリシティだけでPRをするのは難しくなっています。特に若者は新聞やテレビをあまり見なくなりましたが、その代わりにSNSやウェブで情報を入手することが一般的になっています。

 

そこで重要なのが、「誰に」「何を」伝えるかを考え、適切なメディアを選ぶことです。また、パブリシティに取り上げられやすい内容であっても、すべてが記事になるわけではありません。


そのため、PRを成功させるためには特定の条件を満たす必要があります。

 

PRは商品の特性やターゲットに合わせてストーリーを組み立て、正しいメディアを使って行うことが重要です。また、口コミもPR活動の一環として有効です。例えば、子供向けのPRなら学校やPTAを通じて情報を広めることも効果的です。

 

メディアを使ったPR活動だけが成功の鍵ではありません。様々な方法がありますので、次回以降では具体的なメディア掲載の考え方についてもお話ししていきます。

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PR戦略を考える際には、単に何を考えるかだけではなく、戦略を構築するためには何が必要なのかについてお話してきました。多くの経営戦略書が存在し、さまざまなアプローチがありますが、私はその中で「ストーリー」が極めて重要だと考えています。


では、PRにおけるストーリーとは具体的にどのようなものでしょうか?


PRは、知られていないことに気づいてもらうための活動です。そのため、相手が容易に理解しやすい形で情報を伝える必要があります。自分が理解しているから相手も理解するという思い込みは避けるべきです。特にエンジニアの場合、専門用語を使いすぎて理解されづらくなることがあります。ストーリーを活用することで、情報を分かりやすく伝えるだけでなく、相手にイメージを持ってもらいやすくなります。


例えば、「子供のいない老夫婦が川で拾った桃から生まれた子供を育て、その子が世間に迷惑をかける鬼を退治し、宝物を持ち帰り幸せにその後を暮らした。」という話を聞いたとしても、それだけでは興味を持つ人は少ないでしょう。しかし、「川上から桃がドンブラコドンブラコと流れきた」などと話が展開されると、より具体的にイメージができ、興味深いものとなります。また、キビ団子の話や犬、猿、雉が家来になった経緯を加えると、さらに想像力が膨らみます。


PRにおいては、ストーリーを通じて情報を伝えることで相手にイメージを残し、商品やサービスの利用方法などを想像させることが重要です。これが購買活動につながる要素となります。


では、ストーリーを作るとはどういうことでしょうか?


私は、ストーリー志向のPR戦略を考える際に、井上ひさし氏の言葉「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく。」が示す通りに、相手が知らないことを分かりやすく、深く、面白く伝えることが重要だと考えています。


この言葉に従って考えることで、相手に伝えたい情報をストーリーに組み込みやすくなります。そして、ストーリーを構築するためのテクニックも重要ですが、まずはどのようにストーリーを組み立てるかを考えることが大切です。この言葉を覚えて、PR戦略におけるストーリーの重要性を意識してください。

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著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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