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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

前回のブログで、「興味ある」「興味ない」のどちらでもない60%へのアプローチがPR戦略を立てる上で重要だとお話ししました。今回は、その60%の無関心層をターゲットにするための具体的なマーケティング戦略として、ペルソナ分析の活用方法について解説します。


1. ペルソナ分析とは?


ペルソナ分析とは、ターゲットとなる顧客の詳細な人物像を仮想的に描く手法です。性別、年齢、職業、趣味、価値観などの具体的な特徴を持つ架空の顧客を作り上げ、その人物に向けた商品やサービスを考えることで、より効果的なマーケティング戦略を設計することができます。


例えば、あるスポーツブランドのペルソナを考える場合、「30代前半、女性、会社員、週末にランニングを趣味としている」といった詳細なキャラクターを設定します。このようなペルソナを元に、彼女がどのような課題を抱えていて、どのような商品が彼女の興味を引くかを具体的に検討するのです。


2. 60%の「どちらでもない」層をペルソナ分析で見出す


60%の無関心層は、元々商品に強い興味を持っていないため、そのままのアプローチでは関心を引くことが難しいです。しかし、彼らも日常生活の中で何らかの課題や欲求を抱えています。ペルソナ分析を使うことで、その課題やニーズに寄り添ったアプローチが可能になります。


まず、ターゲットとなる60%の無関心層にどのようなペルソナが存在するかを考えます。例えば、以下のようなペルソナを作成できます。


ペルソナ1:

• 名前: 鈴木明美

• 年齢: 35歳

• 職業: IT企業の営業

• 趣味: ヨガ、読書、SNSでの友人との交流

• 課題: 仕事の忙しさから運動不足を感じているが、

     何か新しい趣味を見つけたいと思っている。


このペルソナは、「運動不足を感じているが、積極的に新しい活動を始めていない」という無関心層の典型例です。この層にアプローチする際は、彼女のライフスタイルや興味に合わせた提案をすることがポイントです。


3. ペルソナに基づく具体的なアプローチ


このように設定したペルソナに対しては、彼女の課題や欲求にフォーカスしたPRやマーケティング戦略を立てることが効果的です。具体的には、以下のようなアプローチが考えられます。


1)コンテンツのカスタマイズ

鈴木明美さんのようなペルソナにアプローチするためには、彼女が日常的に目にするメディアに合わせたコンテンツを制作します。例えば、彼女がよく見るSNSやオンラインメディアで、ヨガやランニングに関する記事や動画コンテンツを作成し、「忙しいあなたにぴったりな、気軽に始められる運動法」を紹介します。


2) インフルエンサーの活用

彼女がフォローしているインフルエンサーや著名なヨガインストラクターとコラボレーションし、商品の魅力を自然に伝える方法も効果的です。信頼する人物からの情報は、無関心層に対しても説得力が高まります。


3) 体験型イベントの開催

また、体験型のイベントも有効です。たとえば、週末に気軽に参加できる「ヨガ体験イベント」を開催し、その場で新しい運動習慣や商品を提案することで、関心を引き出すことができます。リアルな体験を通じて、彼女の無関心を興味へと変えることが期待されます。


4) 継続的なコミュニケーションが重要

ペルソナに基づくアプローチは、一度限りの施策ではなく、継続的に行うことが大切です。無関心層に関心を持たせるには、彼らが日常的に接するメディアやプラットフォームで定期的に情報を発信し、ブランドや商品に親しみを持ってもらうことが求められます。例えば、メールマガジンやSNSでのフォローアップなど、定期的なコミュニケーションを通じて徐々に関心を引きつける戦略が有効です。


5) 成果の検証と改善

最後に、ペルソナ分析に基づいたマーケティング戦略は、実施後の成果をしっかりと検証し、必要に応じて改善していくことが重要です。無関心層がどの程度関心を持ち始めたのか、実際に商品の購入や利用につながっているのかをデータで確認し、次の施策に反映させていきましょう。


まとめ


ペルソナ分析を活用することで、60%の無関心層に対して効果的なPRやマーケティング施策を展開することが可能です。消費者の細かいニーズや課題に寄り添ったアプローチを行うことで、興味を引き出し、最終的には購買や利用につなげることができます。次回は、さらに具体的なペルソナ設定のコツや、効果的なコンテンツ制作の方法についてご紹介したいと思います。



 
 

いよいよ駅伝の季節がやってきましたね!私は走ることが好きなだけでなく、観戦するのも大好きです。特に駅伝は、ドラマチックな展開が多く、毎年楽しみにしています。なかでも、大学駅伝は私の母校・中央大学が出場することもあって、応援にさらに熱が入ります。


今シーズンの大学駅伝は、先月の「出雲大学駅伝」から始まりましたが、中央大学は残念ながら出場できなかったため、私にとっての開幕戦は先週行われた「全日本大学駅伝」でした。出雲から全日本までの間に中央大学は、箱根駅伝の予選会に出場し、6位で予選を通過。お正月の箱根駅伝の出場も無事に決まりました!一方で、全日本大学女子駅伝は惜しくも10位という結果に終わりました。


先週の全日本大学駅伝での中央大学の成績は12位と、シード権を逃す結果に。しかし、選手たちは一番悔しい思いをしているでしょうから、箱根でのリベンジを期待したいところです。


私は実はかなりの「中大陸上部長距離ブロック応援フリーク」で、所属選手の5000mや10000m、ハーフマラソンの記録もほぼ把握しています。できれば試合や記録会にも応援に駆けつけたいのですが、時間がなくてまだ実現できていません(選手の皆さん、ごめんなさい!)。


駅伝の楽しみの一つは、母校のエントリーメンバーや走る区間を予想すること。自分で予想しても当たることは少ないのですが、それでも、あれこれ考えるのが本当に楽しいんです。他大学のライバル選手のエントリー状況も気になりますし、自分の予想と実際のレース展開を想像するだけでワクワクします。


レースの当日は、母校の応援に没頭します。今はインターネットのおかげで、テレビに映らなくても順位や選手の様子を確認できるので、IT技術のありがたさを感じます。意外かもしれませんが、実際の応援はあまり行きたくないんです。選手が速すぎて、あっという間に通過してしまい、競り合いの状況がよくわからないので…。そのため、観戦は競技場が一番かなと思っています。


駅伝の魅力は何といっても「ドラマ性」にあります。タイムだけでは予測できない展開が多いのも駅伝ならではです。その日の体調やコンディション、天候、チームの流れによって結果が左右されることもよくありますし、襷(たすき)をつなぐことで、普段以上の力を発揮する選手もいます。陸上は個人競技のイメージが強いですが、駅伝だけは仲間やチームのために走るため、特別な感動が生まれます。


駅伝は「筋書きのないドラマ」と言われますが、勝っても負けても観ていて楽しいものです。とはいえ、やはり応援するチームが勝ってくれると、さらに嬉しいですよね。今年の箱根駅伝では、ぜひ中央大学に上位入賞してほしいです!

 
 

これまでのブログでは、若者の「推し活」やインターネットの仕組みによって、興味のある情報しか伝わりにくい現状についてお話ししてきました。今回は、関心が薄い層にどのようにアプローチできるのか、私の考えをお伝えします。


マーケティングの世界では、すべての消費者が自社の製品やサービスに興味を持っているわけではありません。むしろ、多くの消費者は「興味がある」「どちらでもない」「全く興味がない」という3つのグループに分類されます。これを考える上で役立つのが「262の法則」です。


262の法則とは?


この法則は、組織やビジネスでよく使われる概念で、全体の20%が非常に高い成果を上げ、60%が平均的な成果、残りの20%があまり成果を上げないという考え方です。この理論をマーケティングに応用すると、消費者も以下の3つに分けられます。


  1. 20%の興味がある人: 商品やサービスに強い関心があり、購入意欲が高い。

  2. 60%のどちらでもない人: 現時点では特に興味はないが、きっかけ次第で関心を持つ可能性がある。

  3. 20%の全く興味がない人: どんなアプローチをしても関心を持たず、購入には至らない。


各グループへのアプローチ方法


1. 興味がある20%の人

製品やサービスに対して既に興味を持っているこの層には、基本的なPR施策を実施すれば情報は届きます。インターネット広告を中心に、いくつかの基本的なPR手法を実施すれば、確実にリーチすることができるでしょう。


2. 全く興味がない20%の人

この層は「知らないから興味がない」場合も多いので、まずは認知を広げることが重要です。マス広告や有名人を使ったイベントなどで幅広く知らせる方法が考えられます。ただし、この層には「知っていても興味がない」という人も含まれるため、リソースを割く前にアプローチする価値があるかどうかを慎重に検討すべきです。多額の費用をかけても効果が出ないリスクがあるからです。


3. どちらでもない60%の人

この層へのアプローチが、PRの成功の鍵を握ります。興味が薄いながらも、何かきっかけがあれば関心を持つ可能性があります。私はこの60%をさらに3つに分けて考えることを提案します。


  • 20%: 今まで機会がなく興味を持たなかったが、チャンスがあれば関心を持つ可能性が高い層。

  • 60%: 機会があれば試してみたいという層。

  • 20%: 機会があっても関心を持つかどうかわからない層。


効果的なPR戦略のポイント


この考え方を活用すれば、元々興味のあった20%に加え、次の60%のうちの80%(=全体の48%)にあたる層まで確実にリーチできる可能性が高まります。つまり、20%+48%で、全体の68%、約3分の2にアプローチできることになり、マーケティング戦略としては十分な成果が期待できるでしょう。


具体的なPR戦略としては、これまでのPR講座でお話しした内容に基づき、ターゲットとなる60%をどのように引き込むかを考えていけば良いと思います。次回は、この60%に向けたアプローチのヒントをさらに深堀りしてお伝えしたいと思います。

 

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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