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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

前回は、ペルソナの設定について、お話をしてきました。今回はペルソナに響くコンテンツ制作のポイントについてお話をいたします。


設定したペルソナに基づいてどのようなコンテンツを制作するかが今後のPR活動に大きく影響してきますので、ペルソナに寄り添ったコンテンツは、ただ情報を伝えるだけでなく、彼らのニーズや価値観に共感し、購買意欲を引き出す力を持っています。

 

1.ストーリーテリングを活用する


感情的に訴えかけるためには、ストーリーテリングが有効です。ペルソナが共感できる物語を通して商品やサービスを紹介することで、自然に関心を持たせることができます。商品やブランドの「ストーリー」を伝えることで、感情的なつながりを築き、ペルソナの購買行動を促すことができます。


例: 「仕事に追われているあなたでも、1日5分でできる簡単なフィットネスプログラム。通勤中でもできるストレッチ法で、ストレス解消と健康管理が両立できます。」


このように、ペルソナのライフスタイルや感情に寄り添ったストーリーを作り出すことで、無関心層にも関心を持ってもらえる可能性が高まります。

 

2.視覚的なコンテンツの強化


現代の消費者は、文字だけの情報よりも視覚的なコンテンツに引きつけられる傾向があります。ペルソナがよく使うSNSやプラットフォームに合わせて、ビジュアルコンテンツを強化することが大切です。例えば、短い動画やインフォグラフィックを使って、ペルソナが理解しやすい形でメッセージを伝えるのも一つの手です。

 

3.インタラクティブな要素を取り入れる


ペルソナが無関心層である場合、情報をただ一方的に伝えるのではなく、彼らが参加できる体験型コンテンツを提供することが効果的です。例えば、クイズやアンケート、ライブ配信などを通じて、ペルソナがアクティブに関わる機会を作り、興味を持たせることができます。

 

ペルソナ分析は一度設定したら終わりではありません。市場や消費者の行動は常に変化しているため、定期的にペルソナを見直し、実際のデータに基づいて調整していくことが必要です。ペルソナのニーズや行動の変化をしっかりと把握し、それに合わせたコンテンツ制作を続けることで、無関心層への効果的なアプローチが可能になります。


まとめ


ペルソナ分析をさらに深掘りし、無関心層に響く具体的なコンテンツ制作の方法を考えてきました。ペルソナの行動パターンや感情、ニーズをしっかりと理解し、それに基づいてストーリーテリングやビジュアルコンテンツ、インタラクティブな体験を取り入れることで、無関心層にも関心を持ってもらえる可能性が広がります。

 
 

今年の夏、DIC川村記念美術館が2025年1月末で閉館すると発表され、美術関係者を驚かせました。(その後の発表で、閉館が3月下旬になると閉館が2カ月延期されました)


私も、このニュースを聞いたときは非常に驚きました。


川村記念美術館は、近年ずっと赤字が続いていたようですし、クラウドファンディングで9億円以上集めて話題になった国立科学博物館も資金難からの方策でした。このように美術館・博物館の運営は厳しい状況にあるわけです。こうした事情は、日頃から美術館のPRに携わっているため、私も肌感覚で実感していたことです。


同館の経営母体であるDICは、経営を進める上で川村記念美術館の美術資産をうまく活用できておらず、今後も状況が好転することはないと判断したのでしょう。会社の経営は、様々なステークスホルダーの意向が反映されます。同社にとって、川村記念美術館の美術品は「資産」です。その資産の活用について改善指摘があれば、対応しなくてはなりません。経営者の目線から考えれば、DICの判断はやむを得ないのかもしれません。


このあたりの経緯は、以下のニュースを読むとよくわかると思います。


ところで、美術館の運営が厳しい……という話をすると、意外に思う方が多いようです。美術品や博物館が所蔵する美術品や資料は貴重なものなので、高い価値があると思われているからだと思います。そこに一般の方の誤解があるように思います。そこで美術作品の価値について考えてみましょう!


美術品には、芸術的な価値と資産的な価値の二つの側面があります。美術がニュースになるのは、資産的な価値に焦点があたっていることが多く、ゴッホの絵がオークションで高く売れた、伊藤若冲の作品が発見された……といったニュースなどはこれにあたります。


美術館は多くの作品を保有していますが、これはあくまでも芸術を知らしめることが目的です。その作家・作品の美術的価値を評価し、収集・保存を続けています。したがって、保有する美術作品の資産的な価値の高低には関心がなく、一度収集した作品を売却することはめったにありません。したがって、資産的価値が高い作品を数多く所蔵していても、手元に現金が裕福にあるというわけではないのです。


それとは反対に、ギャラリーは美術品を販売し、利益を上げることを目的にしています。美術作品は「商品」であり、その商品の資産的価値の高低には常に注意を払っています。


そして、作家が亡くなると、美術品の資産的な価値が急激に高まることがあります。新作が生まれない一方で、その物故作家の人気が上昇すれば、需給バランスが崩れて一気に作品価格が跳ね上がるのです。


今回の川村記念美術館の閉館について、美術品の資産的価値、美術的価値の両面から考えてみれば、わかりやすく整理できそうです。経営的な観点から考えると、資産的価値を優先する必要があるので、赤字事業である美術館経営を止める、という選択は妥当だと考えられます。一方、美術館の閉館に反対している人は、同館の作品の美術的価値に注目しています。高い芸術性を備えた名品が観られなくなることは、彼らにとっては大きな損失です。したがってなんとか美術館の運営を継続してほしいと願うわけです。


私も美術館のPRに携わっているので、このあたりの考え方の違いを理解して仕事をしなければなりません。美術館はお金をもっているようなイメージをもたれがちですが、今回のブログで書いたとおりそうでもないのです。もしかしたら資金の豊富な美術館もあるかもしれませんね。そういう美術館があれば、ぜひご一報ください。しっかりPRをさせてもらいます!


 
 

前回は、ペルソナ分析を活用して60%の無関心層にアプローチする方法についてご紹介しました。今回は、さらに具体的にペルソナの設定方法と、それを活用した効果的なコンテンツ制作のコツについてお話しします。


ペルソナを設定する際には、単に性別や年齢などの基本的な情報だけでなく、行動パターン心理的な特徴まで掘り下げて考えることが重要です。これにより、よりリアルなターゲット像が浮かび上がり、その人物に響くメッセージを効果的に伝えることができます。ペルソナを具体化するための主な要素は以下の通りです。


1.行動パターンの把握

ペルソナが日々どのような行動を取っているかを具体的に考えます。例えば、仕事の日のスケジュールや、休日の過ごし方などです。ペルソナがどのメディアを利用し、どんなSNSをチェックしているか、どのタイミングで商品に接触しやすいかを把握することが鍵となります。


例:

  • 朝の通勤時間にスマホでニュースをチェックしている。

  • 昼休みにYouTubeで動画を見てリラックスしている。

  • 週末には友人とアウトドア活動を楽しむが、夕方には

    自宅でインターネットサーフィンをする。


このように具体的な行動パターンを理解することで、どのタイミングでどうアプローチすれば効果的かを見極めることができます。


2.ニーズと課題の深掘り

次に、ペルソナが抱えているニーズや課題を考えます。ペルソナがどんな悩みを持っていて、それに対して自社の商品やサービスがどのように役立つのかを明確にしましょう。ここで重要なのは、ペルソナの表面的なニーズだけでなく、本音の部分を掘り下げていくことです。


例:

<表面的なニーズ>

「手軽に健康を維持したい」


<本音のニーズ>

「忙しい毎日でも無理なく続けられる運動を見つけたいが、ジムに行く時間もないし、面倒に感じている。」


この本音の部分を理解し、それに応じたコンテンツを制作することで、無関心層に響くPRが可能になります。


3.ペルソナの感情的要素


ペルソナがどんな感情や価値観を持っているかも重要です。感情的な要素は購買決定に大きく影響するため、共感を生みやすいメッセージを作る際には欠かせないポイントです。ペルソナの価値観に寄り添い、感情に訴えかけることで、無関心層に関心を持ってもらいやすくなります。


例:

「私たちの世代は、自分の時間を大切にしたい。効率的で、自分らしくいられる選択肢を求めている。」

 

このように、感情や価値観に基づいたアプローチを取ると、ペルソナとの共感ポイントが生まれ、彼らの心を動かすことができるのです。

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

顔写真 (2).jpg

中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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